高知の柚子が生まれた村
「高知の柚子作りは北川村から始まった。」
北川村のゆずづくりには伝統と歴史があります。
高知県東部奈半利川沿いの道を北へ、たくさんの自然に囲まれた山村があります。
柚子の収穫期11月。 村全体が柚子の香りに包まれる季節です。
高知県は全国シェアの40%を占める柚子生産県ですが、その1/4が北川村で生産されています。
北川村の柚子の栽培は江戸時代に、当時の北川郷の庄屋見習 中岡光次(北川村出身の幕末の志士「中岡慎太郎」)が、柚子を塩代わりに防腐や調味料として使おうと考え、村内に自生していた柚子の作付けを農民に奨励したことが始まりとされています。
その後、昭和40年頃に本格的なゆずの栽培が始まりました。
当時は6ヘクタール程の栽培面積から始まり、現在村内では100ヘクタールを誇る全国でも有数のゆずの産地となっています。
中岡慎太郎が栽培を奨励した
実生の柚子
中岡慎太郎が栽培を奨励した、実生の柚子は、
村のあちらこちらで北川村の柚子生産の歴史を物語ります。
実生と接木
北川村には実生と呼ばれる種から育てたものがあります。
実生の柚子は接木の柚子に比べて、香りが高く酸味も強めで栄養価の高いオリが沈殿したり浮いているのが特徴です。
県内でも実生の柚子を出荷しているのは北川村が一番多いといわれています。
しかし、実生の柚子は「桃栗3年、柿8年、柚子はすいすい15年、柚子の大馬鹿18年」等と言われ実を付けるまでに通常15年~18年かかります。
そこで、柚子の枝をカラタチに接木する方法を導入すると5年~6年で実を付けるようになり、村は瞬く日本有数の産地となりました。
柚子栽培の先駆け
本格的に柚子の栽培が始まったのは、昭和40年頃でしたが、それに先駆けて昭和36年に、柚子の栽培を始めた方が北川村にいました。川村久江ノ上(クエノウエ)に住んでいた松崎盛さんです。松崎さんたちが始めた柚子の栽培は、近隣の村に広がっていき、北川村は日本でも有数の柚子の産地となりました。
松崎さんは柚子の栽培について以下のように語っていました。
松崎さん:柚子は他の柑橘類と違って特に昼夜の温度差が無いときれいな玉にならんし、香りも少ない。ただ頭で考えるだけじゃあ百姓はいかん。ちゃんと手をかけてやると、いい玉ができる
柚子作り44年、松崎さんの柚子玉は全国どこへ出しても恥ずかしくないと定評があります。
松崎さん:私ら久江ノ上、下の両集落が一番先に柚子栽培を始め、近隣の村々へと広がった。その意地もあるから負けるわけにはいきません
北川村『ゆず生産王国北川村のゆず物語 ゆず物語プロローグ』より引用
松崎盛さんは現在お亡くなりになっていますが、息子の松崎一志さんがその意思を継ぎ、今も久江ノ上、下の両集落の仲間とともに柚子玉を全国へと出荷をしています。
柚子の時期
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柚子の花
5月頃柚子の花は白く可憐な花で、開花時期になると甘い香りが村内のあちらこちからに香っています。
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柚子の青玉
8月頃柚子の花が終わると小さな緑色の実がつきます。その実がだんだん大きくなり、ピンポン玉位の大きさになったら、柚子の青玉として出荷されます。
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柚子の黄玉
11月頃10月下旬頃からゆずの黄玉の収穫が始まります。この時期になると村全体がさわやかな柚子の香りに包まれ多くの村民が収穫に追われます。